ウメの育て方(季節別)
庭ウメの育て方
冬から春(12月~3月)
植えつけ:
12月~3月が適期です。
整枝と剪定:
果樹園などでは広がりのある開心自然形に育てますが、庭植えの場合
はスペースの都合などからコンパクトな庭木づくりが一般的です。ウメ
は古い枝幹からでも芽吹きが可能で、いくらでも仕立て直しができるの
で、まずは植えたい場所に植えてみることです。剪定の時期は花後がお
すすめです。花を多く楽しめるだけでなく、受粉の機会が長く結実にも
優れます。長い枝や夏場に摘心した枝につく花は、充実した短い枝につ
く花よりも開花が遅くなるので、長短の枝が混在している方が長い期間
花を楽しめます。剪定の手順は、まず大きな枝の構成(樹形)を考え、
不都合な枝があれば間引いたり、切り詰めたりします。大まかな整枝が
終わったら、前年に伸長した若枝を15cm前後に切り詰めます。樹姿
を重視する場合は短めに詰めます。ウメは14~15cm以下の短い枝
に良い花や果実をつけるので、充実した短果枝が着生するような整枝・
剪定がポイントです。
施肥:
庭植えでは、花ウメ・実ウメとも7月または寒肥の1回くらいでよい
でしょう。肥料よりも有機物を十分に与えることが大切です。
病害虫防除:
12月上旬、カイガラムシ類その他の越冬害虫防除のため、マシン油
(97%)乳剤(30~50倍)を散布します。
春から夏(4月~7月)
結実管理:
下記のような『実ウメ品種の選び方』に留意して植えたにも関わらず
結実が悪い場合は、雌しべのしっかりした花(完全花)の着生が少ない
ことが考えられます。前年の肥培管理が悪いと、雌しべが育っていない
花(不完全花)が多くなります。完全花が多いにも関わらず結実が悪い
場合、受粉がうまくいかないこともあるので、人工授粉を試みるのもひ
とつです。
摘心と夏場の枝管理:
4~5月は十数㎝以上伸びる新芽から摘心(芽摘み)していきます。
摘心で伸長を抑えることで、どんな小さい樹にも作ることが可能です
6~7月は枝の込み具合を見て、新梢の間引きを中心とした軽い夏剪定
をします。
病害虫防除:
アブラムシ類、黒星病などの防除。
収穫:
収穫時期は年や場所、品種などにより異なります。用途に応じて収穫
することが大切です。
夏から秋(8月~11月)
夏剪定:
花後の剪定がおすすめですが、おこなっていない場合は、長く伸びた
枝を中心に花後におこなうのよりも控えめにおこないます。
病害虫防除:
コガネムシ類、ケムシ類など葉を食害する虫に注意。
鉢ウメの育て方
冬から春(12月~3月)
置き場:
鉢土が凍らない程度の場所に置く。
水やり:
数日に1回くらい。
植えつけ:
鉢苗の場合は植え替えの要領で、長い1本苗の場合は十数㎝くらいに
切り、根も切り詰めて植えつけます。
植替え:
鉢植えで育てていると根が詰まってくるので、2~3年に1度は植え
替えが必要です。用土は赤玉土の小粒(硬質)に腐葉土を2割くらい混
ぜて用います。
花後の剪定:
花後、整枝とともに前年枝の葉芽を1~3くらい残して切り詰めま
す。萌芽時におこなうと葉芽がよくわかります。
春から夏(4月~7月)
置き場所:
日当たりのよい場所に置きますが、7月からは強い西日の当たる場所
は避けます。
水やり:
鉢の表面が白く乾いたら、たっぷりと水を与えましょう。
施肥:
4月上旬、5月上旬、5月下旬の年3回。肥料は油粕の固形肥料とIB
化成肥料を交互に与えます。
摘心:
新芽が7~8㎝以上伸びるものは摘心し、二度伸びするものはかき取
ります。
病害虫防除:
アブラムシ類ほか。
夏から秋(8月~11月)
置き場:
日当たりのよい場所に置きます。
水やり:
特に夏場は回数を多めにおこないます。
施肥:
10月上旬に与えます。
台風対策:
台風に対する備えをしましょう。
病害虫防除:
広域の病害予防のため、ベンレート水和剤の散布とコガネムシ類幼虫
の防除。
※摘心(庭植え・鉢植え共通)について
新芽の先端を摘み取ることを摘心といいます。摘心するこにより、枝
の成長が抑えられ樹が充実します。鉢植えでは必ずおこなう作業です。
庭植えでもぜひおこないましょう。この作業は成木が中心で、幼木など
大きく伸長させたい場合はおこないません。要領は伸びている新芽の先
端を親指と人差し指で摘み取ります。どのくらいの長さで摘心するか、
その目安は鉢植えで3~8葉、庭植では5~15葉くらいです。鉢植
え、庭植えとも樹形に細かくこだわるほど短めに摘心します。摘心の時
期は4月半ば以降、摘心したい長さに達した新芽から順におこないま
す。二度伸びするものは、大きく伸長しないうちにかき取り、三度以上
伸びる場合も同様に根気よくかき取ります。